見たままを描くことを具体的に理解するためにパースマシンを使いました。ルネッサンス時代の画家たちも利用したとされる奥行きのある空間や立体をそのまま平面に写し取る方法です。
視点、投影面、対象物を固定した位置に置いて、覗き窓から見える立方体をスケッチブックに描きます。その後、パースマシンのセロファンに透過して見える立方体を描き、セロファンを外してスケッチブックの立方体と重ね合わせます。
最初から2つの立方体が一致する人はいません。セロファン上の正確な三点透視の立方体とは異なり、スケッチブックのそれは正確なパースとは言えません。これこそが空間認知や立体把握という概念で、目でみているものを一度脳の中で処理してから描いているために、2つの絵はこのような差が生まれてくるのです。
最初のスケッチで衝撃を受けた学生は2枚めから目覚ましい進化を遂げます。脳の中の見え方を意識して矯正していくからです。
パースマシンの制作に50分ほどかかりましたが、それでも大いに意味のある気づきができました。